Seeking Fire

正法眼蔵・仏性11

July 30, 2020 , posted under 仏教 ネルケ無方 道元 正法眼蔵 仏性

毎週日曜に開かれている流転会の勉強会、正法眼蔵・仏性の第11回のレジュメです。前回は中務さんの担当で、今回は火童の担当です。
同じ場所を火童の読み方で読みます。語句の解釈は全く違うけれど、中務さんの理解とさほど違わないはずだと思っています。

反省

  • 難しい
    • 道元禅師のせい
    • 哲学に足を取られた?
      • 個人的には大好きだけど
      • そもそも仏性の理解をしやすくするために導入したはず
  • 実践にどう役立つのか見えてこない
    • 道元禅師のラブレターとして読めているだろうか?

今回の目標

  • KISS principle: Keep It Simple Stupid.
    • できるだけ易しくしたいってことです
    • 問い「自分とは何か」を軸に考える
      • 仏道をならうといふは、自己をならうなり。
  • How do you express emptiness when you are on the toilet?
    • 実践に引き付けて考えたい
    • 問いは「どのように生きる(修行する)のか」
  • 「一切衆生、悉有佛性、如來常住、無有變易」との対応とは?

復習

これまでの永井哲学的理解

  • 〈私〉
    • 全ての全て
    • 比較できる対象がない
    • ホワイトボードそのもの
    • 仏性
  • 「私」
    • 70億人の中の1人
    • 他の人と比較できる
    • ホワイトボード上の文字
    • 悉有の中の一つ

これまでのナニコレ論

  • これ性 = 是、個別的、臨場性、唯一性、一回性
  • なに性 = 何、本質、普遍的、概念、表現

問答

祖、師を見るに、是れ小兒なりと雖も、骨相奇秀、常の童に異なり。
見問曰、汝何姓。(汝何なる姓ぞ。)
師答曰、姓即有、不是常姓。(姓即はち有り、是れ常の姓にあらず。)
曰、是何姓。(是れ何なる姓ぞ。)
師答曰、是佛性。(是れ佛性。)
曰、汝無佛性。(汝に佛性無し。)
師答曰、佛性空故、所以言無。(佛性空なる故に、所以に無と言ふ。)

キーワード

  • 何、是、姓:この3つが主なキーワード
  • 汝:最終的な探求対象
  • 有、無、空
  • 何姓、仏性、常姓

原文

しかあればすなはち、祖師の道取を参究するに、「四祖いはく、汝何姓」は、その宗旨あり。
むかしは何国人の人あり、何姓の姓あり。なんぢは何姓と為説するなり。たとへば、吾亦如是、汝亦如是と、道取するがごとし。
  • 「汝何姓」が key point らしい
  • なんの key point?
    • 「自分とは何か」に対し、「汝は何であり姓である」と答えたのではないか
    • 自分であるところの何とは?姓とは?
    • なぜ是ではないのか?
五祖いはく、「姓即有、不是常姓」。いはゆるは、有即姓は常姓にあらず、常姓は即有に不是なり。
  • 姓には2種類ある。
    • 有即姓: 有に即している
    • 常姓: 即有に不是
      • 有に即していない
      • 常姓の即有は是ではない
「四祖いはく是何姓」は、「何」は「是」なり、「是」を「何」しきたれり。これ「姓」なり。「何」ならしむるは「是」のゆゑなり。「是」ならしむるは「何」の能なり。姓は是也
、何也。
これを蒿湯にも点ず、茶湯にも点ず、家常の茶飯ともするなり。

ここからは、まず「有即姓」の方の説明だと思います。

  • 何は是である。
    • 名前が違うのだからイコールではなく、表裏一体のようなものか
  • 是を何するのが、姓
    • 「何」しきたれる、「何」の能 → 何は動詞。はたらき、行為ではないか
    • 是が是として現れるのは何のはたらき。
    • 何が何としてはたらくことができるのは是があるから。
    • 中務さんは「何⇔是の往還運動」と表現
      • これが「姓」ということだろう
      • そして「姓」は「汝」
  • 家常の茶飯ともする
    • 日常の生活で行っていく
    • 今ここの茶飯に出会っていく
五祖いはく、「是仏性」。
いはくの宗旨は、是は仏性なりとなり。何のゆゑに仏なるなり。是は何姓のみに究取しき
たらんや、是すでに不是のとき仏姓なるなり。
  • 是は仏性
  • (仏性は)何のはたらきで仏となる
    • 修行をするから仏。
    • 料理をするからシェフ。
    • 何を修と読めば、是は証、修証一等を表すことになる
  • 是は何であり姓であるとだけ言うことはできない
    • 不是のとき(おそらく何がはたらく前)から是は仏性
    • 仏性自体は何のおかげで仏性になるのではなく、是が固有に持つもの
    • 「仏のかたより行われて」のようなことを表すのだろうか
しかあればすなはち是は何なり、仏なりといへども、脱落しきたり、透脱しきたるに、かならず姓なり。その姓すなわち周なり。しかあれども、父にうけず祖にうけず、母氏に相似
ならず、傍観に斉肩ならんや。
  • 脱落しきたり、透脱しきたるに、かならず姓なり。
    • 是が何としてはたらき、何によって是が現れる、このことの本体は往還運動、姓。
    • 修証一等の要は姓である汝。
    • 仏道の要機を保任す

しかあれども

「姓」のもう一つの側面がここから述べられます。
つまり、ここからが「常姓」の話だと思います。
が、「姓」の文字が出てくるのはここで終わり。\

  • 姓すなわち周なり。
    • 姓=汝はすべてに行き渡っている
    • 70億分の70億の自己
    • 傍観に斉肩ならんや。
      • 比類のない〈私〉
四祖いはく、「汝無仏性」。
いはゆる道取は、汝はたれにあらず、汝に一任すれども無仏性なりと開演するなり。しる
べし、学すべし。いまはいかなる時節にして無仏性なるぞ。仏頭にして無仏性なるか、仏向
上にして無仏性なるか。七通を逼塞することなかれ、八達を摸索することなかれ。無仏性は
一時の三昧なりと修習することもあり。仏性成仏のとき無仏性なるか、仏性発心のとき無仏
性なるかと問取すべし、道取すべし。露柱をしても問取せしむべし、露柱にも問取すべし、
仏性をしても問取せしむべし。
  • 汝無仏性
  • 汝も二つ。何であり姓である汝と、無仏性の汝がある
    • 何であり姓である汝は、即有の姓。
    • 無仏性は、常姓のことだと思う。
  • 無仏性は「仏性が無い」という意味ではない
  • いまはいかなる時節にして無仏性なるぞ。
    • 〈今〉
    • すでに時節至れり
    • 仏性成仏のとき無仏性なるか(何)
      • 資料より: 仏道修行においてナニ性をコレ性に変換させることを「成仏」と言う
      • 逆?
    • 仏性発心のとき無仏性なるか(では、これは是?)
    • 発心、修行、菩提、涅槃
    • 即有の姓と無仏性の関係を感じさせるが、ここでは問えというのみ
しかあればすなはち、無仏性の道、はるかに四祖の祖室よりきこゆるものなり。黄梅に見
聞し、趙州に流通し、大潙に挙揚す。無仏性の道、かならず精進すべし、趑趄(しそ)することなかれ。無仏性たどりぬべしといへども、何なる標準あり、汝なる時節あり、是なる投機あり、周なる同生あり、直趣なり。
  • 何なる標準あり
    • 標準は標傍、道しるべと読んでみる
    • いつもの実践が道しるべ
  • 汝なる時節あり
    • 比類のない〈私〉 = 永遠の〈今〉
  • 是なる投機あり
    • 投機
      • 師匠と弟子が心機投合すること
    • 是とは出会いである、とは言えないか
  • 周なる同生あり
    • ただ今もあらゆるものと出会っている
  • 直趣なり。
    • これらがそのまま仏法である
五祖いはく、「仏性空故、所以言無」。
あきらかに道取す、空は無にあらず。仏性空を道取するに、半斤といはず、八両といはず、
無と言取するなり。空なるゆゑに空といはず、無なるゆゑに無といはず、仏性空なるゆゑに
無といふ。
しかあれば、無の片々は空を道取する標傍なり、空は無を道取する力量なり。いはゆるの
空は、色即是空の空にあらず。色即是空といふは、色を強為して空とするにあらず、空をわ
かちて色を作家せるにあらず。空是空の空なるべし。空是空の空といふは、空裏一片石なり。
しかあればすなはち、仏性無と仏性空と仏性有と、四祖五祖、問取道取。
  • 仏性は空である。
    • 仏性 = 空性 と考える。
      • 仏性が空であるという意味ではない。
    • 是は仏性だから、つまり、是は空である。
    • 即有の世界での話に思える
  • 無とは
    • 空と無は違う。
    • 空是空:空は是の空なり
      • 無仏性においては、全てはあるが個物(是)に分かれていない
  • 無を知るにはどうするか
    • 無の片々は空を道取する標傍なり
      • 是、何、姓を通して空を知る
    • 空は無を道取する力量なり
      • 空を通して無を知る

まとめ

姓は二つあった。
汝にも二つがある。

  • 「汝」

    • コレは先験的、出会い、いただきもの
      • 出会うところ全てではなく、一つ一つを指す
    • ナニは意志的、行為
    • ナニとコレは一体の働きであり、このことを姓という
    • 姓とは汝のことであり、汝が何と是を繋ぐ「かなめ」である
    • 修証一等
  • 〈汝〉

    • 汝は全てである
    • 全てを含んだ無である
    • 永井哲学の〈私〉〈今〉
  • 2つの汝の繋がり

    • 見よ、見よ、問え、問えと道元禅師はいう
    • 丙丁童子来求火
  • 一切衆生、悉有佛性、如來常住、無有變易

    • みんなで考えたいです
汝は何なり、姓なり。
有は姓に則す、常性は不是なり。
是と何と姓なり。
是は是の佛性なり。
汝無なれば、無佛性なり。
佛性は空なり、(無佛性は空ならず)、故に無と言ふ。

超適当な図をかきました。 適当な図

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